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2015年6月 3日 (水)

ミュージアム巡り151 アルミとガラス

北フランスのベルギー国境に近い、かつて炭鉱で栄えていたというランスという小さな街に、その建物は建てられた。ルーブル美術館の別館 The Louvre Lens だ。
パリにある本館が石造りの重厚な宮殿をベースに複雑に増改築しているのに対し( 過去の関連記事 )、こちらはアルミとガラスによる明るく軽快、しかも地面に貼りつけたかのようなシンプルでフラットなデザインになっている。設計したのは、日本のSANAAだ。

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アルミパネルは美しく磨かれているために周囲の風景を映し出し、ガラスと共に建物の存在感を消し込むことに寄与している。

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中央のエントランス棟は四方がガラス張で、コルビジェ建築を彷彿とさせる細い柱が軽やかに天井を支えている( 過去の関連記事 )。そしてショップやライブラリなどの機能を内包するいくつもの円筒形モジュールがダイナミックに配置され、しかもガラスを通して外からもそのリズムを感じることができるあたりがいかにもSANAAらしく、同じく彼らの作品である金沢21世紀美術館に通ずるものがあると感じた( 過去の関連記事 )。

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常設展は、別の棟で行われる企画展が準備中だったこともあるのだろうか、入場無料だった。喜んでいいのかどうか微妙だけれども。そして展示棟の壁は外壁同様にアルミパネル、そして床はコンクリート。壁には窓などが全く無いのだけれど、天井がルーバー越しに自然光が入る構造になっているので、思いのほか明るく驚いた。

写真ではわからないが地面の起伏に沿って建築全体が造られているので、床がゆるやかなスロープになっていて、入口から見ると会場がやや下っていくのがわかる。ほんの少しだけど、遠くが見通せる感じがエクスペリエンスとして新しい。昨年訪れた軽井沢の千住博美術館は、同じくSANAAの西沢立衛によるものだけど、自然に即するコンセプトという意味で通ずるものを感じた。

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ここの展示のユニークなところは、130mという細長い会場をテーマや地域や文化などで分類しないで、思いきって年代で並べるという方法。緻密なイスラムの工芸品の隣りにイタリアのテンペラ画があったり、大理石の彫刻の後ろに中国の影響を受けた陶器があったり。これはありそうで無かった。まるで松岡正剛の著書「情報の歴史」にある編集のように、一見脈絡の無いように感じる作品群が互いにシンクロして何かを物語っているように感じた。

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アルミの壁面には年代の目盛りがクールに刻されている。スタートは紀元前3500年。

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もうひとつユニークに感じたのは、エントランス棟の地下にある作品収蔵庫と修復スタジオがガラス越しに見学できるようになっていること。中に入って説明を聞いてまわるツアーもあるそうで、まるで工場のオープンファクトリーのようだった。

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このミュージアムがある街には、下の写真に遠く写っているような巨大な石炭のボタ山が無数に点在する。日本にもあるように、かつての炭鉱の街というのは寂しいものだ。それにしてもなぜ、あえてここにルーブルを建てようと思ったのだろうか。パリからはあまりに遠く、まわりには何もなく、平日だったせいもあって来館者も少なく車も路駐に近い感じで駐車できたほどだ。

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