« 2016年5月 | トップページ | 2016年7月 »

2016年6月

2016年6月29日 (水)

ミュージアム巡り177(US編) 宇宙へ

スミソニアン航空宇宙博物館 National Air and Space Museum の、今回は「宇宙」のパート。二次大戦後の東西冷戦の中、大陸間弾道ミサイルを改造したものから宇宙ロケットの開発はスタートしている。

Dsc06885_r

そして何と言っても 1960年代に入ってケネディが発表したAPOLLO計画。我々は月に行くぞ!の国を挙げたプログラムだ。ソビエトとの国際情勢があったとは言え、この意志の強さと実行力はさすがアメリカだと思う。今から半世紀近くも前の技術で月に行って帰ってきたという事実、しかもライト兄弟が初めて飛行機を飛ばしてからまだ60年足らずだった時代だったこと考えると、そりゃもうすごいとしか言いようがない。( 過去の関連記事

Dsc06948_r

月面着陸船 Lunar Module の脚にある、この皿のような形が子供の頃から不思議に思っていたけど、どういう機能的な意味があるのだろう。着陸が砂場だった時に埋もれない工夫なのだろうか?

Dsc06883_r

巨大なロケットエンジンを間近で見る迫力。ここから爆発的な勢いで炎が噴射されることをイメージすると、近くに立つのが大人げなくも怖い感じがした。

Dsc06889_r

操縦席のコンソールはメカニカルなパーツだらけで、アナログ感が満載。よくこんなので月に行ったものだ。そういえば映画「APPOLO 13」の中で、計算尺(今や知らない若造も多いだろうが)で計算するシーンがあったのを思い出す。

Dsc06896_r

そして同じくアナログなマニュアル!McDonnell マクドネルの社名が入っているけれど、ダグラスと合併する前のエアクラフトメーカー。

Dsc06892_r

最終的に地球に戻ってこれるモジュールは、先端部のこれだけ。大気圏に突入した時の焦げた底面が生々しい。スペースシャトルの洗練された帰還とは大違いで、まさに命懸けな感じがする。

Dsc06899_r

一方こちらはソビエトのソユーズの帰還船で、アポロのそれよりは大きい。恐ろしいことに、ソユーズの基本設計は60年代から今日まで大きく変わっていないらしい。そのかわり改善が極限まで進んでいるので、今では最も安全な宇宙船になっているとのことだ。

Dsc06900_r

そしてソユーズとアポロのドッキングが、東西冷戦が一段落した後に実現したそうだ。写真の左がソビエト、右がアメリカ。

Dsc07043_r

その連結部分のディテイルが興味深い。当時の東と西の規格の違い、設計思想の違い、更には文化の違いといったものを、いったいどうやって克服してこれを実現させたのだろうか。

Dsc07044_r

その後の宇宙開発は、惑星や衛星の地上探査のチャレンジへと続いていく。今のところは無人だけど、まさにフロンティア・スピリット、そこに行けば何かがあると信じているのだろう。

Dsc06903_r

Dsc06902_r

特に火星には、既に何台もの自走ロボット(ローバー)が送り込まれている。

Dsc06952_r

NASAスペースシャトルの、初期コンセプトのモックアップもあった。

Dsc07037_r

今ではスペースシャトルの全ミッションが終わり、民間企業が商業的な宇宙旅行のための機体を打ち上げる時代になった。こちらは帰還時に変形する独特のデザインの SpaceshipOne。

Dsc06946_r

そして宇宙船の研究開発は続いている。費用対効果が問われて難しい課題が多いと思うが、未来に向けたチャレンジとして気持ちだけでも応援したい。

Dsc07040_r

Dsc07041_r

| コメント (0) | トラックバック (0)

2016年6月24日 (金)

ミュージアム巡り176(US編) 飛行機

ワシントンのスミソニアン博物館群(全部で19もある!)で一番人気と言えば、この航空宇宙博物館 National Air and Space Museum ということで間違いないだろう。もともと二次大戦後の戦闘機を中心とした「航空」博物館だったのが、1960年代に宇宙開発が盛んになって「航空と宇宙」としてロケット関係のコレクションを中心に拡大していったとのことだ。郊外のダレス空港近くには、さらに別館があって、スペースシャトル(ディスカバリー)やB52(エノラゲイ)などの大物が展示されているらしいので、マニアは必見だろう。

今回は、まず「航空」から。

Dsc07034_r

もともと構造や機構に詳しかった自転車屋さんが試行錯誤の末、1903年に初めて飛ばしたという飛行機がこちら。そう、かのライト兄弟 Wright brothers の飛行機だ。まだ100年ちょっとしか経ってないんだよね、これが。展示の機体は、布は貼り替えたものなので新しく見えるけれど、木製フレームはオリジナルとのことだ。写真ではわかりにくいけど、パイロット(人形)とエンジンが左右に分かれて載っていて、重さのバランスを保つ工夫がなされている。運転席が左側というのが車と同じなのが面白い。エンジンから伸びている長いチェーンで左右のプロペラを回しているのがわかるだろうか、さすがは自転車屋さん。プロトタイプを繰り返して実現させたイノベーション事例として、今だからこそ再び注目に値すると思う。

Dsc06917_r

その後の時代にエンジンがだんだん大きくなって、現代の飛行機っぽい形態になるまでの進化の過程が興味深い。

Dsc07049_r

そしてやはり先端技術は戦争の道具として活用され、皮肉にもその戦争で進化する。特に第一次大戦の空はドイツの独壇場だったとのことだ。こちらは赤い三葉機で、ミュンヘンのドイツ博物館にも似たものがあった( 過去の関連記事 )。

Dsc06965_r

こちらはフランスの複葉機。

Dsc06968_r

アメリカは一次大戦にはあまり関わってないと思うけれど、カッコいい複葉の水上機、カーチスがあった。まさに「紅の豚」の世界だ。

Dsc06932_r

複葉機は翼が短くてすむらしく、艦載機としての活躍もあったようだ。

Dsc07031_r

そして「翼よ、あれがパリの灯だ」の単葉機。ニューヨークとパリくらいの距離は飛行機で行ける時代を迎えることになる。しかしこの機体は、大きなガソリンタンクをエンジン近くに改造して載せた為に、操縦席からは前が見えないという最悪の設計になっている。賞金目当ての争いだったので時間が無かったという裏話もある。

Dsc06945_r

こちらはロッキード社のモニュメンタルな単葉機だそうだ。赤いボディがカッコいい。

Dsc06937_r

そして二次大戦。と言えば、そう零戦。キャプションは Mitsubishi A6M Zero だった。初めて見たはずなのに、塗りなおされたであろう機体の質感に、なぜか違和感を感じた。

Dsc06991_r

これはイギリスのスピットファイア。子供の頃に持っていたプラモデルの、この独特の曲線がキレイだと思っていた。

Dsc06999_r

アルファロメオのエンジンを積んだイタリアのマッキは、アフリカ戦線用のカモフラバージョンだった。その下に見える米国のマスタングは、いかにもアメリカンなカラーリングとグラフィックに感じる。

Dsc06993_r

そしてキター!ドイツのメッサーシュミット。ドイツ軍の兵器は戦車にせよ戦闘機にせよ、どれも本当に強そうに見えるから不思議だ。この会社はアウグスブルグ近郊( 過去の関連記事 )にあったけれど工場や空港は空襲で壊滅し、戦後は小さな車を作っていたこともある。( 過去の関連記事

Dsc06997_r

そしてアレやコレや、ああすごい。ドイツの博物館でも戦闘機はさんざん見てきたけれど( 過去の関連記事 )、それでもUSバージョンということでやっぱりワクワクした。

Dsc07029_r

戦後に商用旅客機の時代を迎えてからも、様々な機体が生まれては消えている。( 過去の関連記事

Dsc06963_r

これらの尾翼のカタチがとても気になる。もしかして尾翼フェチ?丸い尾翼のカワイさったらもう。

Dsc06981_r

Dsc06985_r

スポーツとしての飛行機の世界もあるようだ。やっぱり赤い機体はカッコいいし、しかもそれが複葉機だったりすると更にグッとくるのはなぜだろう。

Dsc07088_r

| コメント (0) | トラックバック (0)

2016年6月20日 (月)

自転車好きの眼鏡屋

自転車のサドルやハンドルを使って、動物の剥製に見立てているのだろうか。でもよく見るとメガネ屋さん。メッセージとして何を伝えたかったのだろうか?(後日追記:ピカソの彫刻作品を知らなかった私が無知でした!まだまだだな。 外部サイトにリンク

これは昨年の今頃、フランスのオルレアンという街で見かけたのだけれど、今になって思えばツール・ド・フランスの時期が近かったからなのかもしれない。もしかしてこの街を通ったのだろうか。ちなみに今年はモンサンミッシェル( 過去の関連記事 )がスタートだそうだ。

Dsc04812_r

| コメント (0) | トラックバック (0)

2016年6月15日 (水)

ミュージアム巡り175(US編) 近代彫刻

引き続きワシントン・ナショナルギャラリーの、こちらは東館。この建物はルーブル美術館のガラスのピラミッドで有名な I.M.Pei ( 過去の関連記事 )による設計だ。ここのモダンアートのギャラリーは改装のため長期閉鎖中だったけど、それでもオープンスペースにある近代彫刻は見て回れるようになっていた。

入口の開口部には英国のアーティスト、ヘンリームーアの巨大なブロンズ彫刻が設置してあった。( 過去の関連記事

Dsc06800_r

こちらはフランスのアーティストで、新しいかと思いきや100年ほど前のものと知って驚いた。

Dsc06794_r

そして、こんなに大きいモビールは初めて見た。やっぱりカルダーはアメリカを代表する彫刻家だと再認識( 過去の関連記事 )。ゆぅーったりと動く様は迫力満点だ。

Dsc06788_r

こちらは小ぶりのカルダー。と言っても結構大きいけれど。

Dsc06799_r

本館横にあった彫刻もカルダー。彼は、こういった鉄板の立体構成も多く作っている。( 過去の関連記事

Dsc06682_r

これは単なる工事現場?いえいえ、これはまた別の米国アーティストの作品。

Dsc06871_r

これも米国人の作品、その名も needle tower ですと。パイプ同士が接することが無いワイヤーの技。学生時代に似たようなのを作った記憶がある。( もうひとつのブログから

Dsc06821_r

しかしまあ、よくここまでやったものだ。どこまでも、どこまでも、どこまでも。

Dsc06820_r

| コメント (0) | トラックバック (0)

2016年6月10日 (金)

ミュージアム巡り174(US編) ナショナルギャラリー

ワシントンDCにあるナショナルギャラリー National Gallery of Art は、元イギリス駐在大使だった銀行家(どんな経歴だ?)が集めたコレクションを、二次大戦前に国に寄贈したものがベースになっている。wikiによると、彼が駐在大使だった頃にロンドンのナショナルギャラリー National Gallery ( 過去の関連記事 )のコレクションと設備、そしてその運営方法に共感して、同様のものを米国に作ろうと尽力したとのことだ。 

Dsc06684_r

Dsc06687_r

収蔵作品は、やはり欧州中心。このバイエルン王家が手放したフェルメールの「天秤を持つ女」は、ちょうどミュンヘンに里帰り展示をしている時に見たけれど、ここワシントンで静かに再会することができた。( 過去の関連記事

Dsc06734_r

有名という意味では、作品数の少ないレオナルド・ダ・ビンチがここにはある。1960年代に入手したそうで、アメリカ大陸ではダビンチはこの1枚だけとのことだ。顔の向きと頭の向きが合ってないように感じるのはこの絵に限ったことではないので、彼のことだから何かたくらみがあったに違いない。( 過去の関連記事

Dsc06709_r

その裏側には意味ありげな絵と、暗号のような言葉(ラテン)が描かれていて、後ろに回って見ることができる。古い板絵だからこそできるトリックだ。

Dsc06705_r

そしてモネ( 過去の関連記事 )の数少ない人物が主題の作品、日傘の女性。三枚描いたうち、ここのは顔が見えてるバージョンで、しかもモデルは奥さんと言われている。明るい日差し、心地よい風、愛する家族、幸せなひと時。

Dsc06749_r

そして同じくモネのルーアン大聖堂の連作。33枚のうちの2作品が並んでいた。( 過去の関連記事

Dsc06761_r


そしてゴッホの白いバラ。この明るく爽やかな色調はサンレミ時代( 過去の関連記事 )。

Dsc06756_r

なぜか今回グッときたのが中世のイタリア絵画。こちらはシエナ派のシモーネ・マルティーニによる、マリアに受胎告知しにきた大天使ガブリエルの図。フラットで静かで、何と言っても清らかだ。

通常のアイコンとしてはマリアはユリの花を持つべきところを、敵国フィレンツェの国花だからということで別の植物を持っているそうだ。そして全面を覆い尽くすほどの金箔と文様はクリムトを想起するが、もちろんこちらがはるかに古い。

Dsc06698_r_2

同時期のジョットなんかも、剃り込みを入れたパンチパーマのイエスの、それでもこの無垢な感じって何なんだろう。コンセプトとか、自己表現とか、流行とか、技術とか、そういうレベルではない何か純粋でプリミティブなもの。

Dsc06692_r

Dsc06691_r

| コメント (0) | トラックバック (0)

2016年6月 6日 (月)

リズムとバランス

昨年、フランスの田舎町を車で移動している際に目にした田園風景。モネの絵を見て思い出した。

Dsc03788_r

たぶん同じ種類の樹木を植栽したものだろうけど、等間隔でもないし、育ち方にも個体差があるようだ。それでも自然なリズムが生まれて、心和む風景になっている。

Dsc03789_r

印象派の絵によく出てくるポプラ並木も、密集すればただの壁。バランスだよね、バランス。それにしても細くて高いなあ。サッカーゴールが小さく見える。( 過去の関連記事

Dsc04427_r

そいう言えば今、都内では「樹をめぐる物語」と題したフランス風景画の展覧会をやっている。出口近くにゴッホのひまわりが置いてある美術館だ。( 過去の関連記事 ) ここは、いつも展覧会のタイトルやキュレーションにひとひねりあって面白い。

Dsc07886_r

| コメント (0) | トラックバック (0)

2016年6月 1日 (水)

ミュージアム巡り173(US編) フィラデルフィア

US編の第二弾はフィラデルフィア美術館。ここは映画でロッキーが駆け上がって叫んだ階段で有名らしく、近くには銅像なんかもあって美術館よりも賑わっていた。実際に駆け上がって叫んでいるバカな 無垢な人もいた。

Dsc07123_r

振り返ってフィラデルフィアのダウンタウンを見ると、こんな感じ。先に紹介したバーンズ財団( 過去の関連記事 )は、左奥の緑の中にある。

Dsc07124_r

バーンズコレクションにもあったセザンヌの水浴。こちらはかなり大きい。Dr.バーンズとはどちらの作品の質が高いかで論争になったそうで、彼がコレクションの門を閉ざしてしまう原因のひとつとなったらしい。

Dsc07153_r

ゴッホのひまわりは、現存する6枚のうち公開されている5枚はこれでコンプリートしたことになる。他はミュンヘンのノイエピナコテーク( 過去の関連記事 )、アムステルダムのゴッホ美術館( 過去の関連記事 )、ロンドンのナショナルギャラリー( 過去の関連記事 )、そして新宿の東郷青児記念美術館。この青いバックのひまわりはミュンヘンのものと似ているが、それもそのはず、これは描いて半年たった冬に再びそれを見ながら描いたものだと言われている。そういう知識で見ると、表現が様式化されてるように見えてしまって、もう純粋に感じることはできない自分に失望したりする。

Dsc07154_r

Dsc07156_r

そしてこれはモネの描いた、ヴェクサンの森にあるヴェトイユ村の風景。彼は近くのジベルニーに家を建てるまでの数年間を、この地で過ごしている( 過去の関連記事 )。昨年この村を訪れたが、小さくて穏やかなところだった。おそらくこの風景は村の中心を流れている川の河原だろう。平坦な土地はそこくらいしかないはずだ。

Dsc07127_r

そしてクールベ。これはノルマンディーあたりだろうか( 過去の関連記事 )、雨の表現に人知の及ばない大きな自然の力を感じる。彼は暗い絵ばかり描いているイメージがあるけれど、印象派が生まれるのに必要な土壌を作った一人だったに違いない。

Dsc07139_r

そして気になったのが、このロダン( 過去の関連記事 )。あたかも制作途中かのように原石の状態を残す彼の作品はいくつもあるけれど、この塊は何なんだろう、他とはちょっと違う。そしてこの展示のしかたも、あたかも制作途中を演出するかのような台のしつらえだ。

Dsc07140_r

アゴも中途半端に埋もれたままだ。ああ、誰か早く出してあげて!

Dsc07141_r

| コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年5月 | トップページ | 2016年7月 »