2018年10月12日 (金)

リンゴ

リンゴの季節になりました。ということで、リンゴを描いた作品の写真を発掘してみました。

この存在感たっぷりの不揃いなリンゴたちは、数年前にフィラデルフィアで見たクールベ師匠。さすがに上手だ。( 過去の関連記事

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そしてリンゴと言えば、やっぱりセザンヌ( 過去の関連記事 )。この絵は、珍しくワインを注いだグラスを置いて描いている。フラットな感じや色味が少しゴーギャンっぽいって思ったが、聞かれていたら激怒されそう。

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これもセザンヌのリンゴの静物。例によって、陶器や机など幾何学的な形の静物を見ればわかるのだけど、透視法的には様々な矛盾を持つ角度に描かれている。現代で言うイラスト的なポップさというかモダンな感じだけれど、当時はすごいチャレンジであり、発明だったんだろうなあ。

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こちらはバーンズ( 過去の関連記事 )のミュージアムショップで買った、セザンヌにインスパイアされたアップルティー。なるほどね。パッケージにはバーンズ所蔵の作品がデザインされている。

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2018年9月28日 (金)

筆触

ゴッホは、自ら命を絶つまでの2年間は狂ったように次から次へと絵を描いていた。その中でも特にサンレミにいた頃の絵( 過去の関連連記事 )は素敵なものが多いが、こちらはその中の一枚、白いバラだ。

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近くで見ると、思っていた以上に絵の具が立体的に塗られていることに驚く。ぼってりと標高のあるところがある一方で、薄いところはキャンバスの目が見えるほどの高低差だ。このグッとくるエネルギーは、やはり現物を見ないと伝わってこない。

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こちらは同時期の風景画の、その部分。色が本当にキレイで、今なお色あせていないように感じる。そこに残された筆触を追っていくと、アーティストの手の動き、更には体の動きが感じられるかのようだ。

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2018年9月14日 (金)

眼差し

全てを見透かすかのような眼差しに、思わず「すみません」と何も悪いことをしてないのに目をそらしてしまいそうになる。そんな「気」を発するというか、人の感覚に働きかける「力」をもつ彫像を大理石の塊から掘り出すアーティストって、本当にすごいと思う。はたして彼らは、何百年も先の人の心を動かすことを想像しただろうか。

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2018年9月 5日 (水)

無花果

オランダの古い陶器に描かれているこの果実は、その断面にのぞく実の表現がよく描かれることが多いザクロ( 過去の関連記事 )のようでもあるので最初は疑ったが、しかしその果実の先細りの形、そして丸みのある葉っぱの形から推測するに、おそらくイチジクなのだろう。あまりイチジクの絵柄というのは見ない気がするが、アダムとイブの話にも出てくるくらいなので宗教的意味合いが込められているのかもしれない。

ちなみにイチジクで変換すると「無花果」という漢字が出てくるが、調べると花を咲かせないで実をつけるからだそうだ。いや厳密に言うと、実の中に花が咲くので外からは見えないとのことだ。何それ、何のための花なの?と思った方は調べて頂きたい。そこには衝撃の事実が。

蛇足までに、ザクロは「石榴」というわけのわからない漢字に変換される。イチジクもそうだけど、共に中国経由で日本に入ってきた果実であり、そして文字である。

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2018年8月17日 (金)

逸話という価値

浅草から隅田川の対岸を見た風景は、個性を競う建築ばかりの支離滅裂感がどこかアジアっぽく感じる(まあアジアだけど)。今となっては上海か深センあたりの風景と変わらない、なんて言ったら中国に失礼だ、逆に見劣りするほどになった。

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右下に見えているのはバブルの象徴、スタルクのデザインしたアサヒビール本社のオブジェだ。最近のクリーンアップによって本来の輝きを取り戻している。

昔から「金のウン〇」とヤユされているが、自分は同じウンでもどちらかというと孫悟空が乗ってるようなキント雲を昔から想起する。でも実はクライアント企業の情熱を表す flamme d'or すなはち炎とのことだけどね。建築的にこれをつくるのは当時の技術では困難だったのを、造船会社に頼み込んで作ってもらった、という逸話を覚えている。

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今でこそシンプルなデザインが多いスタルクだけど( 過去の関連記事 )、当時はポストモダンの旗手とも言える存在で、尖がったアートっぽい作品を量産し続けていた。下の写真のレモン絞りも、同時期の彼の代表作。こちらは彼がバカンスで滞在していたリゾートで、食事中にレモンを絞っていて閃いて、紙ナプキンにスケッチを描いてALESSIに送ったという逸話がある。彼の作品は逸話が価値でもある、ということか。

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2018年6月13日 (水)

躊躇、そして葛藤

ロダンの大理石の彫刻が今、横浜に来ている。その名も「接吻」。

以前、パリのロダン美術館で見たもの( 過去の関連記事 )かと思いきや、3体作られたうちのひとつとのことだった。調べると一作目はロダン美術館蔵(パリ万博出展)、二作目がこの英国テートギャラリー蔵のもの(米国人発注後にテートが購入)、三作目はデンマークのビール会社カールスバーグの発注、同美術館蔵だそうだ。

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背中の表現は、まさにミケランジェロに通ずる筋肉フェチ( 過去の関連記事 )。

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今回の展示では360度見て回れる。ロマンチックな題材ながら、女性の背中にもつい筋肉表現してしまうロダン。

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そしてタイトルにもなった「接吻」の瞬間がこちら。あまりよく見えないようにしているのは、作家による時代への気遣いだったのだろうか。

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そして正面に戻って、再び男の手に目をやる。パリでも感じたのだが、これこそこの作品最大の主題にちがいない。力強い男の手とかよわい女性の肌の対比、そこに表れる女性への気遣いと躊躇(ちゅうちょ)、そして葛藤。

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2018年6月 4日 (月)

こいのぼり

300匹ものこいのぼりが大空間を群れで泳ぎ回るというインスタレーションが、先月になるが都内で行われていたので見に行った。

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これらは Adrien Gardere アドリアン・ガルデール というフランスのデザイナーによる空間設計だそうだ。彼はプロダクトなどもデザインしていたけれど、最近ではSANAA建築のルーブル美術館ランス別館のクールな展示( 過去の関連記事 )で有名になった。そういえば昨年、同じ場所でフランスの建築家によるインスタレーション展示があったけれど( 過去の関連記事 )、フランス人のプレゼンテーション能力は今の時代において価値が高まってきているのかもしれない。

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こいのぼりの群れは入口から入っていって、広いスペースの奥で大きく円を描いてターンして出口に向かう流れになっていて、人はその流れに沿って行けば一回り見て出ていける動線計画になっている。その円の中心には寝転べる大きなクッションがいくつも置かれていて、そこで群れを下から仰ぎ見ながら3Dサラウンドで設計された音響によって浮遊感漂う不思議な体験をすることができるようになっている。

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テキスタイルは全て須藤玲子というデザイナーが担当しているそうだ。カラーやパターンだけでなく、透けたものや厚手でゴワゴワのもの、クシャクシャなもの、もじゃもじゃのものなど豊かなテクスチャーのバリエーションを感じることができる。

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やっぱり錦鯉、というか赤いものが一番しっくりくる。この感覚は日本人だけなのだろうか?カッコいい。

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このインスタレーションの為に用意されたのは、国立新美術館の天井高8mという一番大きな展示室。その空間を存分に活かした展示になっている。一番低い群れは人の背丈よりも低く、しゃがんで通り抜けなければならない。

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入口付近の群れは白や生成りの明るい一団。テクスチャ勝負ということで、これはこれで見どころがあって好きだ。

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最後は黒っぽい一群が、光の差す出口の方に向かって去っていく感じ。君たち、ありがとう。さようなら。

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2018年5月25日 (金)

睡蓮

モネは晩年、ジベルニーに建てた自邸の庭に池を造り( 過去の関連記事 )、そこに植えた日本由来の睡蓮を300点にも及ぶ作品に描いている。モネ好きなこともあって今まで何枚もの彼の睡蓮を見てきたが、どの作品も全く飽きること無くその世界に没入できる不思議な魅力を持っている。とは言え、オランジュリーの睡蓮がやっぱり一番だけれど( 過去の関連記事 )。

こちらはスイスの実業家ビュールレが、実は彼は戦争で巨万の富を手に入れた武器商人だったのだが、収集して自邸を飾っていた美術作品が地元チューリッヒの美術館に移管されることになって、そのタイミングで東京で行われていた展覧会に展示されていた睡蓮だ。

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やはりこの作品でも水面に映り込んだ柳の木のゆらぎ、そして更にその奥の青い空の深さを感じることができる。もちろん主題の睡蓮も、特にその赤い花がガッツリと盛って描かれていた。

ちなみに睡蓮は water lily なので、直訳すると水百合。水はわかるけど百合じゃないだろうと思うが、かと言って水蓮と書かないで睡蓮なのはなぜかとの疑問も浮かぶ。調べると、この花は夜になると眠るように花弁を閉じることからつけられたそうだ。へぇ~。

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2018年5月 2日 (水)

ちゃぶ台

昨年見たマティスの絵に、ちゃぶ台のようなものが描かれていた。Wikiによると日本のちゃぶ台は、明治時代に階級社会が崩壊してから普及したとのこと。確かに一家団欒(だんらん)の象徴としてイメージできるように、家長も女性も子供も同じ食卓で食事をするのは、それまでの時代ではありえなかったのかもしれない。一方でマティスは明治元年生まれということなので、場所こそ違えど時代的には符合している。ここはひとつ、描かれているのは日本からヨーロッパへ輸出されたものである説を唱えてみたい。

描かれた女性も床座をしていて、黒髪のせいか東洋的に見えるのも、もちろん作家の意図したことだろう。服のグリーンと手にしたレモンの黄色の組み合わせにも、何か強いメッセージを感じる。

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別の機会に撮ったこのマティスのドローイングも、実に彼らしいすっきりした表現だけど、この女性も何とも魅力的に描かれている。そして東洋的にすら感じるのは、私の気のせいだろうか。( 過去の関連記事

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2018年4月27日 (金)

シルエット

モダンアートか、あるいは前衛の書か、と思わせるこの作品は、何と写真。しかも全てがハンドバッグのシルエットだ。ガラスに並べて下から撮影したのだろうか、なるほど影絵のようで面白い。Dior ( 過去の関連記事 )のアートコレクションにあったものなので、もしかすると全てDiorかもしれないが、残念ながら私にはそのシルエットからブランドを判別することはできない。ちなみにシルエットってフランスっぽいなと思って調べると、案の定 silhouette と書くフランス語だった。

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