2018年5月 2日 (水)

ちゃぶ台

昨年見たマティスの絵に、ちゃぶ台のようなものが描かれていた。Wikiによると日本のちゃぶ台は、明治時代に階級社会が崩壊してから普及したとのこと。確かに一家団欒(だんらん)の象徴としてイメージできるように、家長も女性も子供も同じ食卓で食事をするのは、それまでの時代ではありえなかったのかもしれない。一方でマティスは明治元年生まれということなので、場所こそ違えど時代的には符合している。ここはひとつ、描かれているのは日本からヨーロッパへ輸出されたものである説を唱えてみたい。

描かれた女性も床座をしていて、黒髪のせいか東洋的に見えるのも、もちろん作家の意図したことだろう。服のグリーンと手にしたレモンの黄色の組み合わせにも、何か強いメッセージを感じる。

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別の機会に撮ったこのマティスのドローイングも、実に彼らしいすっきりした表現だけど、この女性も何とも魅力的に描かれている。そして東洋的にすら感じるのは、私の気のせいだろうか。( 過去の関連記事

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2018年4月27日 (金)

シルエット

モダンアートか、あるいは前衛の書か、と思わせるこの作品は、何と写真。しかも全てがハンドバッグのシルエットだ。ガラスに並べて下から撮影したのだろうか、なるほど影絵のようで面白い。Dior ( 過去の関連記事 )のアートコレクションにあったものなので、もしかすると全てDiorかもしれないが、残念ながら私にはそのシルエットからブランドを判別することはできない。ちなみにシルエットってフランスっぽいなと思って調べると、案の定 silhouette と書くフランス語だった。

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2018年4月23日 (月)

デルフトの小瓶

東インド会社ついでにもうひとつ。10年以上前に買ったアンティークのデルフトを思い出して、探して出してみた。高さが6~7センチの超小瓶なので、一輪挿しにもなりえない。おそらくは鑑賞用か、昔のお土産用だったに違いない。( 過去の関連記事

しかしその大きさにもかかわらず、絵柄の表現がとても豊かで、線も生き生きしているところが気になったポイントだった。

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実はデルフトにも行ったことがあるのだけど、これはアムステルダム( 過去の関連記事 )の、記憶では運河沿いの薄暗い店で買ったものだ。年代など詳しいことはわからないが、底には奇妙なサインがある。何かの呪文、あるいは漢字のようにも見える。

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ちなみに、その後アムステルダムを訪れた際に、おしゃれなショップで買ったデルフトのカップはこんな感じ。同じ手描きでも、大雑把。まあ、そこがデザインというか、伝統のモダンな解釈なのだろうけれども。

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2018年2月26日 (月)

ドイツ的感性

二次大戦前のアメリカ東海岸で生まれ育ったワイエス Andrew Wyeth。ドイツ系移民の家系で、実際に絵の中でもドイツ系の人たちや彼らのライフスタイルがモチーフとして登場する。彼の描く風景はペンシルベニア州やメイン州の寂しい風情のものが多いけれど、その深いところにはドイツ的な感性が流れているように感じる。

下の写真は Washington National Gallery ( 過去の関連記事 )にあった作品で、それこそメイン州の何気ない風景かもしれないが、まるで長編映画のワンカットのごとく前後にストーリーがあるように感じてしまう。荒野のように広がる殺風景な風景の不穏さ、轍(わだち)が示唆する外界とのつながり、ディテールを追って見ると決して豊かではないであろうことに気付く部屋。そこへ吹き込む乾いた冷たい風を、彼は驚くべき緻密さで描いたカーテンのダイナミックな動きだけで表現している。その激しくはためくカーテンの裾はレース模様を大胆に省略して描いていて、これが現代絵画であることに気づかされる。

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2018年2月16日 (金)

謎のポートレート

気になるポートレート、作者不詳。ポールスミスのコレクションの中で見つけたものなので、UKのアーティストなのかもしれない。そして今頃、どこかの店舗の壁を飾っているのかもしれない。

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これもたぶん、同じアーティストによるもの。もしかして未完成の作品、いや大きさからみてエスキースなのかもしれない。シンプルな面表現にも関わらず、何だろう、この重たい雰囲気は。

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背景の描き方、というか描かずにそこにある空気、いやむしろ気、を表現している様もまたこの作品に奥行きをもたらしている。うーん、「気」になる絵だ。

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2018年2月 2日 (金)

文字のチカラ

アルファベットでできた立体のディスプレイと遭遇した。おそらくレーザーカットされたボードなのだろう、デジタルのようなアナログのような、何とも不思議な存在感がある。そしてなぜか怖い感じがするのは、覆っているものが文字だからだろうか。( 過去の関連記事

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2018年1月19日 (金)

マスターズコレクション

最近 Louis Vuitton はマスターズコレクションということで、100年以上前の絵画作品をモダンアーティストの Jeff Koons が模写し、それをプリントしたバッグなどの商品を出している。昨年はモナリザがあったが、こちらは新作のターナー( 過去の関連記事 )。

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そして、こちらはマネの草上の昼食。その他、モネやゴーギャンもあるようだ。19世紀末の絵画がテーマなのかと思えばブーシェのような古いものもあるし、フランス絵画のシリーズかと思えば英国のターナーもあるし、アーティストの意図が全く読めない。それを含めて、芸術作品を模写してプリントして大量生産して高く売るという活動自体が、もしかするとモダンアートなのかもしれない。

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2017年12月22日 (金)

森の国のクリスマス

皆さん、撮りますよ~、こっち向いてくださ~い!っていう感じの彫刻。右下に幼きイエスキリストがいる。これはワシントン・ナショナルギャラリー( 過去の関連記事 )で見つけた、中世の南ドイツの木彫。

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ちなみに正面から見るとこんな感じ。みんなバラバラ、好き勝手なことをしている。もちろん教会の祭壇に置かれていたものだろうから宗教としての主題に基づいた創作なのだけど、加えて人間としての表現が実に豊かだと思いませんか?これにはルネッサンスを生んだ人間性を回帰しようという時代的背景と、ドイツの田舎町という地域的な背景、そしてそこの深い森が育んだ精神文化と工芸技術が重なって生まれたのだろう。( 過去の関連記事

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2017年11月24日 (金)

イズム

このネオンアートのメッセージは、「なんとかイズム」とひとくくりにされることに対する批判なのだろうか。アーティストが作品を発表するということは、即ち世の批判にさらされるという運命にあるのだろう。どんなに頑張って新しいスタイルをクリエイトしたとしても大雑把に他人の作品と同じグループにカテゴライズされてしまうというのは、アーティストにとっては苦痛なのかもしれない。

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2017年11月10日 (金)

難民

ここ数年で、中東から数百万人もの難民が欧州に押し寄せる事態になってしまった。しかもあっという間に。その対応の違いからEU各国の溝を深めてしまっていることは報道にあるとおりだ。

そして、地中海を決死の覚悟で渡ってきた難民たちが実際に身に着けていたライフジャケットを素材としたインスタレーションが、横浜美術館のファサードを覆っていた。これは中国の、今では社会派アーティストと呼んでもいいだろう Ai Weiwei によるもの。

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これを身に着けた人は家も財産を失い、場合によっては家族をも失い、決死の渡航に高額の報酬をブローカーに搾取され、命かながら逃げて欧州にたどり着いている。それぞれ今、どこでどんな生活をしているのだろうか。

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そこで使われたゴムボートも、丹下建築のファサードに容赦なく並んでいる。その後ろにそびえ立つ墓石とも揶揄されたランドマークタワーの無機質なデザインと、この命のシンボルとなった赤いゴムボートとのアイロニカルなコントラストも、アイウエィウエィの狙ったところなのだろうか。

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