2019年1月 9日 (水)

構成的立体

Julian Wild というUKの彫刻家の作品が、高層ビルの裏庭にひっそりと置かれているのを見つけた。彼の作品は以前、ロンドンでも見たことがあるけれど( 過去の関連記事 )、仮組み的というか刹那的というか、どこか完成に至るまでの過程のような構成的立体( structural sculpture )が多い。ある意味、デ・スティル( 過去の関連記事 )に通ずるものを感じる。

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遠目で感じる立体感は近くに寄ると自然と消滅し、むしろその素材の質感や構成の面白さに関心が吸い寄せられる。なるほどパブリックアートとして、とても良くできている作品だ。

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2019年1月 1日 (火)

戌から亥

戌年から亥年へ。ということで、犬に噛みつかれる猪の図。おそらく狩猟のシーンを描いたものだろうけど、ドッグイヤーこと戌年に急かされて渋々その重い腰を上げて動き出した亥年と見立てれば、まあ今年のスタートとして使えるかなと。

ちなみにこれはローマ時代のモザイクで、フランスのコンデ美術館( 過去の関連記事 )の床にあったもの。大理石の色味も美しく、しかもかなり細かい細工だったけれど、いったいどこから移設(あるいは略奪)されてきたものなのだろうか。

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2018年12月12日 (水)

ルーベンス

「王の画家にして画家の王」という 安っぽい コピーで今、都内でルーベンス展をやっている。そういやアントワープの大聖堂でルーベンス見たなあ、と思って写真を発掘してみた。そう、日本では40年以上前にアニメ化された「フランダースの犬」で知られている教会だ。ちなみに原作は英国の児童文学で、欧州ではあまり知られていないそうだ。

大聖堂は大きく、アントワープ旧市街ではランドマークになっていた。フランダース地方において最も高い塔、とのことだ。ゴシック芸術の見本のような細工に包まれていて、二次大戦をはじめとした多くの戦禍を乗り越えてきたとは思えない姿だ。

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堂内は広く、意外と明るかった。いかにもゴシックな様式の天井だ。遠くに聖母マリアを祭る中央祭壇が見えているが、ここはアントワープの守護聖人であるマリアを祭る聖母教会のルーツを持っている。

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ネロとパトラッシュが力尽きる前に見たルーベンスの「キリストの降架」は、祭壇中央ではなく、その右側にある専用の台に置かれている。かなり大きく、そしてかなり暗い。丁番で開閉できる三連の祭壇画になっているけれど、逆にこれはいつ閉めるんだろう。まさかアニメのようにお金を払った人だけに開けて見せていたなんてことはないと思うのだが。ちなみに反対の祭壇左側には同じくルーベンス作の「キリスト昇架」があって、それはもともと別の教会にあったものだそうだ。

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うねる、うねる。バロックっぽいダイナミックな構図だ。そしてさすがはルーベンス、人体の描画や表情の表現が異様なほど上手い。それにしても十字架から降ろされるイエスの生気を失った体が、痛々しくてとても見てられない。もちろん宗教観もあるのだろうけれど、私なら死ぬ前に見る絵として選ばないな。

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2018年12月 3日 (月)

メッセージ

こちらはオルデンバーグという、北欧出身で米国に移住したモダンアーティストの作品。この黒い彫刻は、実はFRP樹脂に塗装仕上げという、言わばハリボテであると聞いてがっかりしたが、モダンアートたるものその程度の裏切りは必要なのかもしれない。

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ちなみにこれは「Q」の字を上下反転したものだそうだが、なるほどそう聞いて見直すと、張りを失ったブヨブヨした物体に見えてくるから不思議だ。いったい何を訴えようとしているのだろうか?

オルデンバーグと言えば、東京ビッグサイト( もうひとつのブログから )の正面にあるシンボル的な巨大モニュメントが有名だ。安っぽく感じるので好きではないが、歩道を半分ほど切ったところで止まっている、そのメッセージは何なんだろうか?

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2018年11月19日 (月)

システム手帳

メモメモ。

これは中世の絵画に描かれていたシーン。インク壺と共に、ほぼ日本の矢立と同じような道具を手にしているのもわかる。

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そして足元には、何とシステム手帳が。調べてみると、いわゆる現代のシステム手帳の発祥は英国の Filofax で、意外と新しく1921年だそうだ。この絵に描かれた手帳のようなものはそれより数百年古いことになるが、一体どういうファイリングのシステムになっていたのだろうか。

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自分も長らくシステム手帳を愛用しているが、スマホを使うようになってからはあまり使わなくなってしまった。手書きで文字を書く機会が減っていくと同時に、自分の中で持っていた機能というか能力というか、何か大切なものが失われつつあるような気がしてならない。

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2018年11月 9日 (金)

モリゾ

Googleでうっかりモリゾーで検索してしまうと緑のオバケが出てくるが、こちらは画家のモリゾ、Berthe Morisot。彼女は美人のモデルとしてマネの絵によく出てくる(そして弟と結婚している)ことで有名だが、その頃にはすでに画家としてのキャリアをスタートさせていた。このあたりの劇的な人生は、数年前に映画化されている。

こちらの絵は彼女の作品で、米国で見たもの。勘違いしそうだけど、どうやら自画像ではないようだ。

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大きな窓を背にした逆光のシーンであろうにもかかわらず、あまり影を感じない明るい表現がいかにも印象派っぽい。仮にその先入観を捨てて観たとしてもなお、女性らしいふんわりした優しい表現に感じる。足元で子犬がじゃれている様子をつい描いてしまう感性もまた、ある意味で現代的と言ってもよいのではないだろうか。

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2018年10月12日 (金)

リンゴ

リンゴの季節になりました。ということで、リンゴを描いた作品の写真を発掘してみました。

この存在感たっぷりの不揃いなリンゴたちは、数年前にフィラデルフィアで見たクールベ師匠。さすがに上手だ。( 過去の関連記事

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そしてリンゴと言えば、やっぱりセザンヌ( 過去の関連記事 )。この絵は、珍しくワインを注いだグラスを置いて描いている。フラットな感じや色味が少しゴーギャンっぽいって思ったが、聞かれていたら激怒されそう。

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これもセザンヌのリンゴの静物。例によって、陶器や机など幾何学的な形の静物を見ればわかるのだけど、透視法的には様々な矛盾を持つ角度に描かれている。現代で言うイラスト的なポップさというかモダンな感じだけれど、当時はすごいチャレンジであり、発明だったんだろうなあ。

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こちらはバーンズ( 過去の関連記事 )のミュージアムショップで買った、セザンヌにインスパイアされたアップルティー。なるほどね。パッケージにはバーンズ所蔵の作品がデザインされている。

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2018年9月28日 (金)

筆触

ゴッホは、自ら命を絶つまでの2年間は狂ったように次から次へと絵を描いていた。その中でも特にサンレミにいた頃の絵( 過去の関連連記事 )は素敵なものが多いが、こちらはその中の一枚、白いバラだ。

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近くで見ると、思っていた以上に絵の具が立体的に塗られていることに驚く。ぼってりと標高のあるところがある一方で、薄いところはキャンバスの目が見えるほどの高低差だ。このグッとくるエネルギーは、やはり現物を見ないと伝わってこない。

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こちらは同時期の風景画の、その部分。色が本当にキレイで、今なお色あせていないように感じる。そこに残された筆触を追っていくと、アーティストの手の動き、更には体の動きが感じられるかのようだ。

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2018年9月14日 (金)

眼差し

全てを見透かすかのような眼差しに、思わず「すみません」と何も悪いことをしてないのに目をそらしてしまいそうになる。そんな「気」を発するというか、人の感覚に働きかける「力」をもつ彫像を大理石の塊から掘り出すアーティストって、本当にすごいと思う。はたして彼らは、何百年も先の人の心を動かすことを想像しただろうか。

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2018年9月 5日 (水)

無花果

オランダの古い陶器に描かれているこの果実は、その断面にのぞく実の表現がよく描かれることが多いザクロ( 過去の関連記事 )のようでもあるので最初は疑ったが、しかしその果実の先細りの形、そして丸みのある葉っぱの形から推測するに、おそらくイチジクなのだろう。あまりイチジクの絵柄というのは見ない気がするが、アダムとイブの話にも出てくるくらいなので宗教的意味合いが込められているのかもしれない。

ちなみにイチジクで変換すると「無花果」という漢字が出てくるが、調べると花を咲かせないで実をつけるからだそうだ。いや厳密に言うと、実の中に花が咲くので外からは見えないとのことだ。何それ、何のための花なの?と思った方は調べて頂きたい。そこには衝撃の事実が。

蛇足までに、ザクロは「石榴」というわけのわからない漢字に変換される。イチジクもそうだけど、共に中国経由で日本に入ってきた果実であり、そして文字である。

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